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軽井沢町のツキノワグマ対策事業
町はツキノワグマ対策事業をNPO法人ピッキオに事業委託しています。
詳細は下記ページをご覧ください。
ツキノワグマ対策事業について
町では、住民・観光客の安全確保と、野生動物との共存の両立を目指し、ツキノワグマ対策事業に取り組んでいます。
事業の柱は、クマの行動を把握する「個体管理」、クマを引き寄せる原因を減らす「誘引物管理」、正しい知識を広げる「普及啓発」です。
町の実情に合わせた「ゾーニング管理」や「ベアドッグの活用」など、町ならではの取組みを進めながら、クマが出没しにくい環境づくりを継続しています。
目次
1.事業の概要
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個体管理 |
誘引物管理 |
普及啓発 |
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電波発信器による追跡調査や夜間巡回、問題個体の見極めなどにより、人の生活域と森林との距離を保つ取組みです。 |
ごみ・生ごみ・コンポスト・雑排水槽・ドッグフードなど、クマを引き寄せる原因を見つけて減らす取組みです。 |
住民・観光客に正しい知識を伝え、事故を未然に防ぐための情報発信やレクチャー、ガイドマップ配布などの取組みです。 |
2.事業の背景と現状
全国的にクマの出没や人身被害が増加するなか、町でも対策の重要性が高まっています。2025年度の全国の人身被害は238人で過去最多、長野県内では16人が被害に遭ったとされています。町では2件の人身被害が発生し、いずれも国有林内で起きたものです。
一方で、町では長年にわたり独自の対策を進めてきた結果、人間の活動エリアでは2010年9月の人身事故以降、人身事故が起きていません。2025年度の目撃件数は208件で過去最多でしたが、痕跡件数は大きく増えておらず、カモシカやイノシシなどをクマと見誤った通報の増加も背景にあります。
3.町における対策の歩み
町のクマ対策は、別荘地でのごみ荒らしへの対応から始まり、調査・追跡・追い払い・ゾーニング管理・普及啓発へと段階的に発展してきました。
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時期 |
主な動き |
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1990年代後半 |
三笠・鶴溜などの別荘エリアで、プレハブ型ごみ集積所がクマに荒らされる被害が発生。被害は徐々に生活圏へ拡大。 |
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1998年 |
星野リゾート「ピッキオ」が独自の調査対策を開始。 |
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2000年秋 |
町が星野リゾート「ピッキオ」にツキノワグマ・ニホンザルの調査を委託。本格的な町のクマ対策が始動。 |
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2004年 |
NPO法人ピッキオが設立され、国内で初めてベアドッグを導入。クマの追い払い・行動矯正の実践を強化。 |
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2006年 |
「有害鳥獣対策専門員」として町職員に専属職員を配置。 |
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2007年 |
土地利用区分をもとにしたゾーニング管理を導入。 |
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2001~2008年 |
町設置のごみ箱をクマ対策型へ順次交換。翌年以降、ごみ箱被害の終息につながる。 |
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2010年9月以降 |
人間活動エリアでの人身事故は起きていない。 |
4.町が重視する対策の考え方
町の対策の特徴は、「ただやみくもに駆除しても、出没や被害は無くならない」という考え方を明確にしている点です。クマの生態や習性を調査・把握し、その結果を対策に反映することを基本としています。
- クマ本来の生態・習性を調査し、実態に合った対策を行う。
- 餌付き個体を出さない。
- 出没・被害状況を把握し、原因を解明して改善する。
- 早期発見・早期対応・早期改善を徹底する。
- 住民や観光客に正しい知識を伝える普及啓発を進める。
特に重要なのが「誘引物管理」です。クマは一度、人由来の食べ物やごみに執着すると、出没が頻繁になり、人を見ても逃げないなど行動が大胆化します。そのため、問題個体への個別対応とあわせて、食べられるものを置かない・囲う・片付けることを徹底し、クマを寄せ付けない環境づくりを進めることが重視されています。
5.主な取組み内容
5-1.個体管理
電波発信器を装着したクマの位置や行動を把握し、人の生活域で問題行動を起こす可能性があるかどうかを調査しています。
6月から10月までは毎日夜間巡回を行い、人間活動エリアに近づき過ぎているクマには、ベアドッグによる追い払いを実施して森林側へ戻しています。
| 令和8年7月31日現在の発信器作動個体 |
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36頭 |
5-2.誘引物管理
過去には、ごみ集積所、屋外放置の生ごみ、コンポスト、雑排水槽、ドッグフードなどが被害の対象となり、住宅地や商業地まで出没が広がりました。
そこで、クマ対策型ごみ箱への置き換え、餌になるものの除去、電気柵やフェンスの活用、ヤブ刈りなどを進めています。

クマ対策型ごみ箱 ヤブ刈り後の状況
5-3.普及啓発
クマ被害の通報があった際には現地を訪問し、何がクマを引き寄せたのかを伝え、改善につなげてきました。
また、小学校でのレクチャー、住民向け報告会、ガイドマップの配布・公開などを通じて、地域全体での理解促進に取り組んでいます。

小学校でのレクチャ-の様子 かるいざわツキノワグマゾーニングマップ
6.ベアドッグの活用
ベアドッグとはクマの匂いや気配をいち早く察知し、人に危害を加えることなく森の奥へと追い払うために訓練されたクマ対策犬です。
ベアドッグは、クマの追い払い、行動矯正、誘引物の探索など、対策全体の効果を高める役割を担っています。2004年から導入され、町の対策を特徴づける存在となっています。


ベアドッグの追跡状況 ベアドッグによる行動矯正の様子
7.ゾーニング管理
町では2007年から、土地利用区分を基にした「ゾーニング管理」を導入しています。町内を「人間活動エリア」「緩衝エリア」「クマ生息エリア」に分け、エリアごとに対策方針を変えています。
さらに、個体ごとの行動履歴や被害情報を基に、町独自の「ツキノワグマ軋轢(あつれき)レベル」で問題性の程度を判定し、エリア区分と組み合わせて、「ツキノワグマ出没時の対応基準」に基づき追い払い・監視・捕獲・駆除などの対応を決定しています。
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区分 |
考え方 |
主な対応 |
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人間活動エリア |
人の暮らしや観光活動を守るエリア |
早期発見・追い払い・必要に応じた捕獲対応 |
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緩衝エリア |
人の生活域と森林の間で接点を小さくするエリア |
監視強化・追い払い・状況に応じた捕獲 |
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クマ生息エリア |
クマが本来生活する森林エリア |
行動把握・生息状況の調査・必要な管理 |
かるいざわツキノワグマゾーニングマップ(パンフレット裏) [PDFファイル/5.89MB]
8.ツキノワグマ軋轢(あつれき)レベル
町の対策として、クマの行動や人への危険度を5段階に分類した「軋轢(あつれき)レベル」があります。
長年の調査・研究で得た結果を基に作成したもので、レベルに応じて駆除や追い払いなどの対応が厳格に定められています。
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レベル |
状況 |
行動内容 |
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A |
危険 |
5m以内に接近しても逃げない 攻撃する 威嚇する 家屋(有人)に侵入する など |
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B |
厳重注意 |
人を認識しても逃げない 日中、頻繁に目撃される ゴミ・食糧を得るために家屋、建造物の壁を叩く、壊す など |
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C |
注意 |
ときどき目撃される 簡易な建造物、収納庫の扉を開ける など |
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D |
留意 |
人の気配を感じると逃げる 人家周辺で自然のものを採食する など |
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E |
問題なし |
森の中で暮らし、人との軋轢はない |

詳しくは、こちらをご覧ください。
ツキノワグマ軋轢(あつれき)レベル判定基準 [PDFファイル/328KB]
9.ツキノワグマ出没時の対応基準
町では、クマが出没した「エリア」と「軋轢(あつれき)レベル」を掛け合わせて対応を決定します。対応としては、「追い払い」・「学習放獣」・「捕獲」・「駆除」があります。
詳しくは、こちらをご覧ください。
ツキノワグマ出没時の対応基準 [PDFファイル/265KB]
【対応例1】
●出没エリア:人間活動エリア
●ツキノワグマ軋轢レベル:A(危険)
→駆除
【対応例2】
●出没エリア:緩衝エリア
●ツキノワグマ軋轢レベル:C(注意)
→学習放獣
10.対策事業委託費
直近5年間のツキノワグマ対策事業の委託費は、次のとおりです。
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年度 |
事業委託費(単位:円) |
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令和4年度 |
17,864,000 |
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令和5年度 |
18,700,000 |
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令和6年度 |
19,910,000 |
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令和7年度 |
22,297,000 |
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令和8年度 |
29,556,670 |
11.近年の状況と運用方針
近年は東北地方を中心に全国でクマの出没が多発し、国や長野県においても個体数管理の強化へ方針転換が進んでいます。長野県の「県民の命と暮らしを守るツキノワグマ対策 総合パッケージ」では、人の日常生活圏に侵入したクマの捕獲強化が打ち出されています。
これを受け、町でも近隣市町村と足並みをそろえ、学習放獣の一時休止期間中は、「人間活動エリア」「緩衝エリア」で捕獲されたクマについて一時的に駆除する方針を示しました。しかし、町としては今後も野生動物との共存を基本に据え、「人間活動エリア」「緩衝エリア」にクマを侵入させないことを最重点課題として取り組みます。
軽井沢町におけるクマの生息状況と対策について(令和8年4月28日 定例記者会見)
12.住民・観光客の皆さまへのお願い
山に入る機会が増える時期には、クマとの遭遇事故を防ぐため、一人ひとりの行動が非常に重要になります。
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安全行動チェックリスト ▢「軽井沢さるクマ情報」などのメール配信サービスを活用する。 ▢クマの出没しやすい時間帯や、天気の悪い日は特に注意する。 ▢目撃情報看板などを参考にして、クマがいる場所をできるだけ避ける。 ▢林の中で穴や凹みに近づかない。 ▢クマが好む果実をつける樹木には注意する。 ▢犬のリードは離さない。 ▢クマ鈴やラジオなどの鳴り物を携帯し、ヤブや見通しの悪い場所では積極的に自分の存在を知らせる。 |
町では、クマの生態を正しく知り、クマを引き寄せない環境づくりを進めることで、住民・観光客の安全確保と、野生動物との共存の両立を目指しています。今後も、個体管理・誘引物管理・普及啓発を柱に、地域の実情に合わせた対策を継続していきます。
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