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堀辰雄文学記念館だより  令和4(2022)年度

2022年5月12日 更新

O(オー)村だより 令和4年5月号

 

 5月に入り、緑萌え出ずる美しい季節となってまいりました。朝は特に鳥のさえずりが賑やかで、芽吹き始めた瑞々しい若葉の中に、鳥の影を探しつつ開館準備をしております。写真は館の受付前に咲いている満開のツツジです。

 

 今月は堀辰雄の命日を迎えます。毎年、当館では堀辰雄の命日(5月28日)にあわせて「野いばら講座」を開催しております。今年は命日当日に開催が決まりました。今年の「野いばら講座」では、庄司達也先生(横浜市立大学教授)をお招きして、堀旧蔵のSPレコードを、堀愛用の蓄音機(軽井沢高原文庫所蔵)を用いて再生していただきます。

 軽井沢高原文庫様から蓄音機をお借りしての開催となっております。この場をお借りして厚くお礼を申し上げます。
 この蓄音機は、軽井沢高原文庫様開館当時(1985年)に、堀多恵が同館へ寄贈しました。昨年7月、同館が横浜市立大学と共同で修復し、現在では同館にて、希望者は堀が所蔵していたものと同じSPレコード(バッハ「ブランデンブルグ協奏曲」)の音色を聞くことができます(お問い合わせは軽井沢高原文庫様にお願いいたします)。 

 本講演は長らく延期となっておりましたが、この度ようやく皆さまに、堀が耳にしていた音色をお聞かせできることになり、当館一同も楽しみにしております。

 

 さて、本年は萩原朔太郎没後80年に当たります。それに伴い、今年は前橋文学館が中心となり「萩原朔太郎大全2022」が開催されます。これは、全国の萩原朔太郎ゆかりの文学館、美術館などが、朔太郎に関する展覧会を同時期に開催する企画となっております。
 当館も本企画に参加しており、7月15日より12月27日まで、特別企画展「萩原朔太郎と堀辰雄」を開催します。本展に関しましては、現在準備中につき、詳細は今しばらくお待ちください。

 

 

O(オー)村だより 令和4年4月号

 新年度が始まり、軽井沢も段々と春めいてまいりました。堀辰雄旧宅脇の梅も開花し、窓枠に花びらが落ちておりました。

 4月は始まりの時期ではありますが、この月は、堀辰雄が友人の中野重治、窪川鶴次郎らと共に、同人雑誌「驢馬」を創刊した月でもあります。この雑誌は大正15年に始まり、昭和3年5月の第12号まで続きました。堀は詩の翻訳などを載せておりました。

 創刊号に堀は、彼が訳した翻訳詩8篇を「杖のさき」と題し掲載しました。
 今回は、その中のひとつ、アポリネエルの翻訳詩の一篇をご紹介します。

 

 「風景」

 

ここに星や神さまがお生まれなさった家があります

 

実をむすぶばかりになった、この木は、お前によく似ている

 

火のついた葉巻が一本けぶっている

 

恋人どもはいっしょに寝る
それなのにお前たちは離ればなれだね
僕の手足よ


 アポリネエル『カリグラム』からの翻訳になりますが、原文は言葉で絵を描いたようなものになっており、翻訳の難しさが察せられます。

 

 ところで、堀はアポリネエルの「風景」とはまた別に、自身でも「風景」という作品を同時期に執筆していました。

 

 しばらくその汽船に子供のように見とれていると、僕の眼にはひとりで空の一部分がはいってきたのである。それは硝子の破片(かけら)のように光って見えた。小さな真白な雲が、たくさん、汽船のマストを中心にして塊まり合っている。その中でゆるやかに動きつつあるものは、いずれも魚に似た形をしている。中にはクラゲのようなものもある。またじっと動かずにいるものは、僕に、きれいな貝殻を思い出させた。それはまるで海の中がそっくりそのまま空に反射しているようなのである。いままで僕は遠くの方に対岸のようなものを認め、そしてそこに数個の骰子(さいころ)のような洋館が塊っているように思っていたが、それは見る見るうちに船のマストの方へ昇っていった。それもまた雲だった。……

 

 このように、雲の描き方が大変幻想的な作品になっています。よろしければぜひ全文をお読みになってみてくださいね。

 

※アポリネエル「風景」(堀辰雄訳)
 本文引用は『堀辰雄全集第五巻』(昭和53年 筑摩書房)に拠った。画像は同書(p.542)掲載のもの。
※堀辰雄「風景」(大正15年3月)
 本文引用は『堀辰雄全集第一巻』(昭和52年 筑摩書房)に拠った。

 

 なお、表記は新字体、新仮名づかいに改めた。()内のふりがなは原文ではルビが振られている。

春の企画展開催中

                                               

                                                   春期企画展

                            堀多恵のまなざし

                            —堀辰雄と文学者たち 師事・交友をめぐる—

 

                               昭和12年 堀辰雄と多恵 追分測候所裏にて

 

  

    堀辰雄は、学生時代に生涯の親友・神西清と出会い、詩集『青猫』(萩原朔太郎著)を耽読  

  し、文学の世界へと導かれていきました。

  大正12(1923)年、堀辰雄は、室生犀星に誘われて初めて軽井沢に訪れます。この地に

    魅了された堀辰雄は、以後毎夏のように軽井沢を訪れ、文学者たちと交流を深めました。

 

    父親のような愛情で堀辰雄を見守り続けた室生犀星、堀辰雄が師と仰ぎ影響を受けた芥

    川龍之介、病弱な堀に励ましの手紙を数多く送った友人たち……堀辰雄は生涯を通して    

    様々な文学者に支えられました。

 

    本展では、堀辰雄が師事し影響を受けた作家を中心に、堀辰雄の妻・多恵の回想ととも 

    に、書簡や資料をひもとくことで、堀辰雄と文学者たちの温かな交流をめぐります。

 

 

   会期:2022年3月17日(木)~7月12日(火) 

   会場:堀辰雄文学記念館

   開館時間:9時~17時(最終入館16時30分)

   入館料:大人400円、小中高生200円

   休館日:水曜日(祝日は開館)

   ※入館券は追分宿郷土館と共通です。

   ※新型コロナウイルス感染症の状況によっては、会期変更となる場合があります。

 

 

       ■チラシexhibition(PDF/352KB)

    なお、チラシ掲載写真を無断で複製・転用することはできません。

 

 

 

     【問い合わせ】堀辰雄文学記念館 TEL 0267-45-2050

 

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教育委員会 生涯学習課 堀辰雄文学記念館
電話番号:0267-45-2050
電子メール:horikinen(アット)town.karuizawa.nagano.jp
備考:メール送信時はE-mailアドレスの(アット)を半角@に変換してから送信下さい。