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堀辰雄文学記念館だより 令和5(2023)年度
O(オー)村だより 令和6年3月号
3月に入ったもののまだ雪の降る日もありますが、寒さ厳しい軽井沢の陽差しもだいぶやわらかくなってまいりました。
3月16日から新しい展示がはじまります。
春の企画展のご案内
春期企画展
《 堀辰雄と古典文学の世界 》
文壇に登場した若い頃の堀辰雄は、西欧文学に影響を受け、「不器用な天使」「ルウベンスの偽画」「聖家族」などの作品を発表しました。
昭和12年頃から日本の古典を研究的に読むようになり、『蜻蛉日記』から「かげろふの日記」「ほととぎす」,『更級日記』から「姨捨」、『今昔物語』から「曠野」など古典に取材した作品や、「若菜の巻など」「姨捨記」など古典について書いた随筆を発表しました。
また堀は、作品構想のため奈良や京都などを旅しその所産が、『大和路・信濃路』となりました。
追分の地で病床の日々を過ごした晩年まで、古典に対する研究を続けました。
本企画展では、堀辰雄の中期以降の作品に大きな影響を与えた「日本の古典」と堀辰雄文学の関わり、そこから生み出された作品の背景について、関係資料により紹介します。
会期:2023年3月16日(土曜日)~7月7日(日曜日)
会場:堀辰雄文学記念館
開館時間:9時~17時(最終入館16時30分)
入館料:大人400円、小中高生200円
休館日:水曜日(祝日は開館、施設営繕のため臨時休館することがあります)
※入館券は追分宿郷土館と共通です。
【問い合わせ】堀辰雄文学記念館 Tel 0267-45-2050
O(オー)村だより 令和6年1月号
謹んで新春のお喜びを申し上げます。
この度の「令和6年能登半島地震」におきまして被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の皆様の安全と一日も早い復興をお祈り申し上げます。
今年の十二支は辰年になりますが、堀辰雄は1904年(明治37年)に生まれ、辰年にちなんで「辰雄」と命名されました。
今年は堀辰雄が生まれてちょうど120年になります。今年はその事に関連するようなイベントや企画展を開催していきたいと考えています。
町政施行100周年 記念企画展「近代作家直筆原稿38人展」開催中
追分宿郷土館と合同で開催しておりますこちらの企画展も、残り2か月を切りました。
堀辰雄の『大和路、信濃路』の直筆原稿も展示しております。
堀辰雄の愛した冬の追分に、ぜひお出掛けください。
O(オー)村だより 令和5年12月号
12月に入り今年もいよいよ残りわずかとなりました。
1年を振り返ると、今年は「町制施行100周年」「堀辰雄来軽100年」「堀辰雄文学記念館開館30周年」となる記念の年でした。
その中でも、大きな事といえば町制施行100周年記念事業の一環として『新編 軽井沢文学散歩』を発行出来たことです。
初版は昭和43年に刊行し、平成12年に改編を行いましたが、全体の見直しを必要とすることから、令和3年から準備をはじめ、今年の8月に完成し、同月5日の町制施行100周年記念式典においてお披露目をすることが出来ました。
軽井沢における近現代文学の案内役としての書籍が出来上がったと思います。
作成にご協力いただきました関係者のみなさまに、この場を借りて感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
また、町制施行100周年記念及び堀辰雄来軽100年を記念して、7月から企画展「堀辰雄と歩く軽井沢」を開催しました。100年前に初めて軽井沢を訪れた堀辰雄が「道で出遭うものは、異人さんたちと異国語ばっかりだ・・・」と当時の様子を友人に書いた手紙を展示するほか、夏の間軽井沢で多くの文学者と触れ、のちの『美しい村』等の作品が生まれた様子を知ることが出来る貴重な資料を展示しました。
広報かるいざわ10月号には特集として「堀辰雄来軽100年~堀辰雄文学記念館開館30周年~」と特集記事を掲載しました。
堀辰雄の生い立ちや、19歳の夏に室生犀星に伴われ初めて軽井沢を訪れ、異国情緒あふれる風物に魅了されて名作が生まれていったこと、晩年は追分で暮らし終焉を迎えたことについて「堀辰雄と軽井沢」「美しい村」「風立ちぬ」「堀辰雄と追分」それぞれに触れ紹介したほか、堀辰雄文学記念館が開館に至る経緯などを併せて紹介しました。
なお11月11日から来年の3月3日まで町制施行100周年記念企画展「近代作家直筆原稿38人展」と題し、富士見町で開館していた栗本図書館旧蔵の近代作家38人の直筆原稿を紹介する企画展を、上田市にある無言館の協力により、追分宿郷土館と堀辰雄文学記念館の2館合同で開催しています。
当時の編集者と作家のやり取りなどが書き込まれた貴重な直筆原稿を、この機会にぜひご覧いただければと思います。
今年は12月26日(火曜日)をもちまして休館となりますが、来年は1月5日(金曜日)から開館させていただきます。
堀辰雄生誕120年となる年です。3月から企画展を開催を予定しておりますので、皆さまのご来館をお待ちしております。
今年1年ありがとうございました。
O(オー)村だより 令和5年11月号
「堀辰雄を語る会」を開催しました
11月26日(日曜日)に追分公民館において、秋の講演会「堀辰雄を語る会」を開催しました。
当日は寒い中、大勢の方にご参加いただきました。
今回は、武蔵野美術大学 造形学部 教養文化・学芸員課程研究室准教授の大石紗都子先生をお招きし、『時代と空間を超える堀辰雄の”メルヘン”『羽ばたき』を中心に」というテーマで行われました。
先生からは堀辰雄のファンタジー作品の『羽ばたき』の成り立ちと、そのコミカライズ(小説を漫画化)の可能性についてお話しいただきました。
新たな可能性としてコミカライズ作品の『羽ばたき』を一度読んでみたいと思う、そんな興味の沸く講演となりました。
講演の様子はYoutube動画にて公開しております。
ぜひご覧ください
Youtube動画
企画展「近代作家直筆原稿38人展」の開催について
堀辰雄文学記念館と追分宿郷土館の両館において、11月11日から来年の3月3日まで町制施行100周年記念企画展「近代作家直筆原稿38人展」を開催しています。
当時の編集者と作家のやり取りが残された貴重な直筆原稿です。
この機会に是非ともご覧いただければと思います。
企画展開催中は次のとおり関連イベントも開催しますので、多くの方の参加をお待ちしています。
*関連イベント(追分宿郷土館で開催)
(1)令和5年12月2日(土曜日)14時~ 窪島誠一郎×古市憲寿 対談
(2)令和5年12月17日(日曜日)14時~ 中村敦夫 朗読会
(3)令和6年1月28日(日曜日)14時~ 二木てるみ 朗読会
(4)令和6年2月18日(日曜日)14時~ 国井雅比古 朗読会
O(オー)村だより 令和5年10月号
秋の朗読会を開催しました
10月14日(土曜日)に、軽井沢図書館朗読ボランティア「オオルリ」の皆さんによる朗読会を開催しました。今年は堀作品の中から、3作品(部分抜粋)の朗読をおこなっていただきました。
「死のかげの谷」(『風立ちぬ』より)朗読:後藤 町子氏
「菜穂子」 朗読:墳崎 涼子氏
「かげろうの日記」 朗読:久保 マサ子氏
解説 池 富美子氏
「朗読」は、読み手側が深く作品を理解し、作者の意図するものを声に出して「表現」します。聴き手側は、活字で読むのとは違い、五感で作品の世界観を味わうことができ、その行間や抑揚などを通して、新たな気付きを得られるかもしれません。
朗読会の様子をYoutubeにて公開いたします。
ぜひ、堀辰雄文学に耳を傾けてみてください。
(Youtube動画)
O(オー)村だより 令和5年9月号
今年の夏は軽井沢でも30度を超える日が何日もあり、記録的な猛暑となりました。
季節は秋を迎えているものの、未だ夏を思わせる日が続いている、そんな珍しい年となっています。
さて、堀辰雄文学記念館では、8月17日に開催した「夏休みこどもの文学講座」で18名の方が今年の夏の思い出をTシャツに込めた作品を縮小し10月16日(日曜日)まで管理棟南側壁面に展示しています。
来館されたお客様も小学生の作品と知り、足を止めて見入っていました。
ことばTシャツ
10月の予定ですが10月14日(土曜日)には恒例の軽井沢図書館朗読ボランティア「オオルリ」による秋の朗読会と 29日(日曜日)には2023軽井沢リゾートコンサートが堀辰雄文学記念館の展示室で開催されます。
今年はハープとフルートの音色がこの堀辰雄ゆかりの地に流れる予定です。
皆さん是非とお越しください。
O(オー)村だより 令和5年7・8月合併号
緑陰講座及び夏休みこどもの文学講座を開催しました
緑陰講座は例年8月の第1週の土曜日とその翌日の日曜日、2日続けての開催となりますが、今年は町制施行100周年のイベントと日程が重なることから、8月6日(日曜日)と8月19日(土曜日)に2週にわたっての開催となりました。
緑陰講座(1回目)
1回目の緑陰講座は6日(日曜日)に開催し、講師は堀辰雄とは縁の深い軽井沢高原文庫館長の大藤敏行氏による「堀辰雄と軽井沢」と題した講演をいただきました。「不器用な天使」から「大和路・信濃路」まで出版された数多くの作品の貴重な初版本を紹介して頂いた他、堀辰雄が所有していた蓄音機を使ってのブランデンブルグ協奏曲を聴くことが出来た貴重な講座となりました。
講座の様子
堀辰雄の蓄音機
講師 軽井沢高原文庫館長 大藤敏行氏
緑陰講座(1回目)の様子をYoutubeにて公開しています。ぜひご覧ください。
緑陰講座(2回目)
続く2回目の緑陰講座は19日(土曜日)に開催し、講師は堀辰雄文学に造詣の深い上田女子短期大学教授の長田真紀氏に「堀辰雄文学の光彩」と題した講演をいただきました。堀辰雄文学の他、辰雄が1925年(大正14年)の夏、軽井沢に長期滞在していた際、父へ23通の手紙を書いた「父への手紙」から見る辰雄の人間味あふれるエピソードの紹介を頂くなど時々笑いある講座となりました。
父への手紙
講師 上田女子短期大学教授 長田真紀氏
緑陰講座(2回目)の様子をYoutubeにて公開しています。ぜひご覧ください。
夏休みこどもの文学講座
昨年から夏休みこどもの文学講座を開催していますが、今年も8月17日(木曜日)に追分公民館においてなおやマンこと島崎直也氏としま:アイこと島崎アイコ氏を講師に迎え「ことばTシャツ~夏の思い出をとじこめたTシャツづくり~」を開催しました。においや味から連想する夏の思い出を文字におこし自分だけの思い出Tシャツを作成しました。
今年の夏の思い出をTシャツに込めて
左から 講師 しま:アイ氏 なおやマン氏
O(オー)村だより 令和5年5・6月合併号
野いばら講座を開催しました
5月28日(日曜日)堀辰雄の命日に、毎年恒例の野いばら講座を開催いたしました。当日は天候にも恵まれ、爽やかな高原の風を感じながら開催することができました。
今年は、慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部教諭の岡本英敏氏をお招きして、「刎頸(ふんけい)の交わりとしての堀辰雄と神西清」と題した講演会を行っていただきました。講演会には、神西清の長女である神西敦子氏にもお越しいただくなど、大変貴重な講演会となりました。
また、今年は堀辰雄没後70年にあたります。それを記念して、講演会前に、堀辰雄の文学碑に70本の白いガーベラを献花しました。
この文学碑の碑文は、堀辰雄が大和へ向かう途中、木曽福島のつたや旅館に一泊したときに、宿の主人に請われて書いたものです。堀辰雄が遺した数少ない毛筆による自筆の筆で、夫人によって選ばれました。
碑の石材は白御影石で、堀辰雄が好み、また堀辰雄文学の基調となっている白を表しています。平成13年10月に建立しました。
野いばら講座の様子をYoutubeにて公開いたします。ぜひご覧ください。
夏秋企画展のお知らせ
町制施行100周年記念 堀辰雄来軽100年
堀辰雄と歩く軽井沢
開催期間:2023年7月13日(木曜日)~11月5日(日曜日)
今年は、堀辰雄が大正12年に初めて軽井沢を訪れてから100年にあたります。
堀は、昭和28年に追分で亡くなるまで、多くの時間を軽井沢で過ごしました。
堀が執筆した作品には、軽井沢が舞台になったものも多く、本展示では、堀辰雄が描いた軽井沢を紹介します。
チラシ: 堀辰雄文学記念館企画展「町制施行100周年記念 堀辰雄来軽100年 堀辰雄と歩く軽井沢」チラシ [PDFファイル/409KB]
※なお、チラシ掲載写真を無断で複製・転用することはできません。
O(オー)村だより 令和5年4月号
今年の軽井沢はいつになく早く春が訪れ、気付けば桜も終わり、いよいよ新緑のまばゆい季節がやってまいります。当館アプローチの楓や落葉松も日ごとに緑を増してきました。
今年は、堀辰雄没後70年、親友の神西清生誕120年にあたり、堀辰雄の命日(5月 28日)にあわせて「野いばら講座」を開催します。
とき 5月28日(日) 13時30分 ~ 15時
ところ 堀辰雄文学記念館 館庭(雨天時 記念館閲覧室)
演題 「刎頸(ふんけい)の交わりとしての堀辰雄と神西清」
講師 岡本 英敏 氏(慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部教諭)
申込み 5月1日(月曜日)午前9時から電話・窓口にて受付開始
参加料 無料ですが、入館料(大人:400円、中高生:200円)が必要です。
みなさまのご来館を心よりお待ちしております。
【問い合わせ】 堀辰雄文学記念館(下記連絡先まで)